大宮周辺の歴史

1940年に埼玉県に誕生した大宮市は、2001年に近隣の浦和市、与野市と合併することになり、さいたま市に含まれることになりました。かつて大宮市であったエリアは、大宮区、西区、北区、見沼区、中央区に分かれていますが、現在でも地元では「大宮」と呼ばれて親しまれています。

このあたり一帯が栄えたのは、氷川神社が建てられた古代にまで遡ります。神社にお参りに来る人々を迎えるための門前町としての役割を担ったことが始まりだと言われており、後の江戸時代には、五街道の一つである中山道の宿場町として栄えました。

そして、明治維新の後に行われた廃藩置県で大宮県が置かれることとなりましたが、残念ながらこれは隣の浦和に移されています。また、1883年には東京の上野から熊谷にかけて鉄道が開通しましたが、この時大宮には駅が設けられず、有志の尽力によって後に駅が作られることとなり、現在の住みよい街の基礎が出来上がりました。大宮にある山丸公園に置かれている蒸気機関車と記念碑は、この多大な尽力を記念して作られたものです。

鉄道の街として栄えることになった大宮は、昭和に入るとインフラの整備がすすんだことにより都心へのアクセスがさらに良くなり、東京の衛星都市、ベッドタウンとなり、人口はますます増加していきます。そして、新幹線の開通とともに地域は再開発され、大規模なビルが立ち並ぶようになり、大きくの人々が行き交う活気あふれる街として現在も成長し続けています。

「鉄道の街」と大宮の駅

大宮は、東京湾まで流れる荒川がある街で、東京で見る荒川とはちょっと違った風景を楽しむことができます。また、大宮は昔中山道の大宮宿として栄えたところであることから、そのにぎわいの名残りをもつ街です。明治に入るまで中山道でも江戸の街に近い主要な宿場であったため、上野と熊谷の間を結ぶ鉄道が開通しても、しばらくは駅を設けることなく、その繁栄を残してきたそうです。しかし、鉄道ができたことによって、大宮が衰退するようになったため、鉄道への関心が高まるようになり、大宮駅ができることになりました。

いまの大宮駅は、東京などへのアクセスがよく、東京方面への通勤や通学に便利なところとして人気があります。大宮駅は、ＪＲ東日本大宮駅、東武鉄道大宮駅、埼玉新都市交通が乗り入れています。駅の高架には新幹線があり、東武鉄道は東武アーバンパークライン、埼玉新都市交通のニューシャトの愛称で親しまれています。構内にある名物の「かえるポスト」、「夜のストレンジャー」や「ocean」の発車メロディーが大宮らしさを表すものとなっています。また、東武鉄道の駅舎はもとは総武鉄道の駅でしたが、戦後から東武鉄道の駅として使われていることが特徴です。

さらに、120年以上の歴史のある大宮駅の周辺には鉄道博物館が埼玉新都市交通伊奈線鉄道博物館駅にあり、大宮は鉄道の街としての特色をもっています。このように昔から氷川神社の門前町として栄えた大宮ですが、駅ができてからは鉄道の街と変わりました。

大宮の名所「氷川神社」

大宮は、昔から氷川神社の門前町として栄えてきたところです。氷川神社というのは、さいたま市大宮区高鼻町にある古代から武蔵国一宮として存在する神社です。この神社は、東京都・埼玉県にある氷川神社の総本社のため、古くから多くの参拝者が訪れています。

氷川神社は第5代孝昭天皇のときに作られた日本でも古い神社の一つで、景行天皇の時代になって出雲の氏族が来てから、出雲の兄多毛比命（えたもひのみこと）が武蔵国造となり、この神社ができたそうです。流造の本殿には、須佐之男命、奇稲田姫命、大己貴命といった主祭神を祭っています。社格は武蔵国一宮ですが、三宮とも呼ばれ、神社本庁はかつては官幣大社、いまは別表神社とされています。また、この神社の境内には江戸時代中期まであった大きな沼の見沼の名残のある神池があります。そのことから、大宮は歴史ある街として知られています。氷川神社は、初詣の参拝者が非常に多い神社の一つとして全国では有名で、この神社では年々参拝客が増えているそうです。

中山道が整備されるようになった江戸時代の大宮では、大宮宿ができるようになり、宿場町として繁栄した街の一つとなりました。この大宮宿は、江戸に近い宿場町として中山道でも規模が大きかったところとされています。江戸時代から大宮は宿場町、氷川神社で知られた街といってよいでしょう。そして、大宮は氷川神社の事を「大いなる宮居」と呼んだことから、これが地名の由来になったといわれています。

大宮の歓楽街「ナンギン」

大宮には埼玉県でも有名な繁華街の大宮南銀座があります。ここは買い物に便利な商店街でありながら、繁華街としても知られたところで、この繁華街は地元では南銀通りやナンギンと呼ばれて親しまれています。大宮南銀座は、大宮駅を出ると大宮駅東口の南側に入り口があり、南銀座と呼ばれた地域では、大宮の人はもちろんのこと、周辺に住む人や観光客も多く訪れています。

この通りは、明治時代に大宮駅が開業してから宿場町をもとに発展していたところで、昔からある懐かしさを残していることが特徴です。狭い路地にはたくさんの飲食店などがあります。大宮南銀座（ナンギン）は、高度成長期に急成長をとげて広く有名な町となり、カラオケやゲームセンター、居酒屋などの飲食店が多い場所です。また、ナンギンは大宮北銀座として知られている風俗店の多いキタギンとは違って、全国で展開する大手の飲食チェーンやビジネスマンが会社帰りに立ち寄れる飲食に最適なところです。商売繁盛のために建てられた「金富貴地蔵尊」を観ることができるほか、南銀座通りの若い女性による「女神輿」が開かれるなど、大宮の繁華街ならではの特徴があります。

最近の南銀座通りでは、コンビニ店や全国チェーン店などが多くなったことから、サラリーマンやOLなどが多くなり、イメージもよくなっています。大宮の繁華街の大宮南銀座は、地元の人だけでなく、大宮を訪れる観光客にとっても楽しめる場所として人気があります。